小児の肺炎球菌ワクチンについて

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 2008年に乳幼児の髄膜炎を防ぐワクチンとしてヒブワクチンの接種が開始されましたが、2010年より新たに肺炎球菌に対するワクチンの接種も開始されました。

 

 

髄膜炎はヒブワクチンだけでは防げないの?
 肺炎球菌とインフルエンザ桿菌(ヒブ)は、小児の細菌感染症を引き起こす主なばい菌です。15歳未満では細菌性髄膜炎の原因としてインフルエンザ菌が55%、肺炎球菌が20%と言われています。この二つの菌で髄膜炎を引き起こす菌の4分の3を占めていることを考えると、これらの菌の感染を予防することは非常に重要なことです。ヒブワクチンだけでは十分とは言えません。

 

肺炎球菌とは
 肺炎球菌による感染症は、2歳未満の乳幼児と65歳以上の高齢者にピークがあります。小児では菌血症(血液の中にばい菌が入る病気)、肺炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎などを引き起こします。肺炎球菌は、幼稚園や保育園に通う年齢になると、ほとんど全ての子供の鼻や喉の中で悪さをせずに生きていますが、血液、肺、髄膜などに入ると病気を引き起こし、重症になることがあります。これまでにも大人用の肺炎球菌ワクチンは発売されていましたが、免疫が5年程度で消失し、2歳未満では接種しても抗体が上がらないため、主として65歳以上の高齢者を対象に接種されていました。今回、主に乳幼児に効果のある新しい肺炎球菌用ワクチン(プレベレナー)が認められました。

 

ワクチンの有効性
 肺炎球菌による髄膜炎、菌血症、重症肺炎などの病気の予防のために接種します。有用性は83-97%と言われています。海外では肺炎や中耳炎にも効果があるといわれています。

 

副反応
 注射部位が赤くなったり、硬く腫れることがあります。その他熱がでることもあります。

 

接種スケジュール
 2ヶ月齢から10歳未満のお子さんに接種します。接種開始年齢によって接種回数が異なります。

 

費用
 現在日本では全額自己負担の「任意接種」となっています。当院での1回接種の費用は10,000円です。

 

予約をお願いします
 2ヶ月から10歳未満のお子さんの予約を受付しています。ご希望の方は当院までお問い合わせください。

文責:伴 彰子