子宮頸がんワクチンについて

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 子宮の入り口にできる子宮頸がんは、そのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスによって引き起こされます。日本でも年間約9,000人の方が子宮頸がんにかかり、約2,500人の方が命を失っています。子宮頸がんは他のがんと違って、20代、30代の若い人でも起こり得るがんです。このHPV感染を予防するワクチンが日本でも接種できるようになりました。今回は子宮頸がんとそのワクチンについてお話したいと思います。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
 HPVは陰部の皮膚や粘膜の接触によって感染します。したがって性交渉だけでなく、陰部に触れることでも感染することがあり、コンドームで感染を完全に予防することはできません。性交渉のパートナーが多いほど、感染の危険性が高くなります。たいていの成人は50歳までにHPVに感染すると言われています。初感染で多いのは15-25歳で、ほとんどの人が感染しても無症状のままで経過し、2年以内にHPVは消えてしまいます。しかし10-20%の人は感染が持続し、その中から子宮頸がんが発生してくる場合があります。その期間はおよそ20年と言われ、定期的な検診が早期発見に有用とされています。

誰が接種したほうがよいのか
 日本では10歳以上の女性が対象となっていますが、もっとも効果的なのはHPVに感染する前に、すなわち思春期前にワクチンを接種することです。HPVに感染してからワクチンを接種しても、ワクチンにはHPVを駆除する効果はありません。しかし、HPVは繰り返し感染することを考えると、思春期以降の女性でも、ワクチンの効果が期待できます。

子宮頸がん検診を受けましょう
 子宮頸がんのおよそ25-30%はHPVワクチンを接種していても予防できないと言われています。子宮頸がん検診を受けることによって、早期の子宮頸がん、またはがんになる前の状態で発見することができ、結果的に子宮頸がんの発生、または子宮頸がんによる死亡を70%以上減らすことができます。

 

接種スケジュール
 ワクチンは3回接種します。初回から1-2ヶ月後に2回目を、6ヶ月後に3回目を接種します。ワクチンの効果がどれくらい持続するかははっきりわかっていませんが、これまでの研究で少なくとも5年以上とされています。

副反応
 大きな副作用はありませんが、接種した場所が赤く腫れたり、痛くなったり、だるくなったりすることがあります。

接種費用
 当院では1回15,000円で行っています。自治体によっては補助が出るところもあるようです。

文責:北村和也