大切なもの-愛おしさ


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 父として、母として、今、自分の目の前にいる愛しいわが子にどのような願いを込めるのでしょうか?誰からも愛される人、やさしく、強く、たくましく、かわいく、清く、利口に・・・。願いは尽きることがありません。

 

 

 私の場合、子供たち一人一人に願ったのは、“誰でも愛することができる人になって欲しい”ということでした。誰からも愛される人というより、誰をも愛することができることの方が素敵ではありませんか?
 子供たちが笑うとき、悲しむとき、怒るとき、心踊るとき、その傍らで、その愛しい姿を眺めながら心の隅でいつもこの願いを込めていました。こうしなさい、ああしなさいというのではなく、ただただ、心の底で祈るように願いを込めることしかできませんでしたが・・・。人を愛することができれば、人を理解し、許すこともできます。そして、そのことは、だれよりもその人自身にとって大きな喜びとなることでしょう。

 

 

 現代社会において子供たちと接する時、目の前の見えることに、さあこうして、ああしてということが多すぎるような気がします。
今、ここで立ち止まって、人として“大切なもの”は何かを考え直し、それを子供に願い、伝えることは、親として忘れてはならないことではないでしょうか。あくせくではなく、ゆっくり、ゆっくり一生かけて心で伝えるべきことがありそうです。その人にとっての“大切なもの”をまず見つけてみませんか。

 

 

 もうすぐ会える人を待ちわびる時の、湧きおこる心の揺れを知っていますか?
そして、大切なその人と別れる、その時の愛しさを感じることができますか?
言葉では言い尽くせない、出会いと別れの小さな瞬間の心の動揺・・・。そこにあるのは底しれない愛おしさです。

文責:伴 彰子