新しいワクチン


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 ワクチンというと、インフルエンザワクチンを真っ先に思い浮かべる方も多いと思いますが、それ以外にも様々なワクチンが存在します。日本は他の諸外国に比べると接種できるワクチンが少なかったのですが、最近になっていくつかの新しいワクチンが日本でも利用できるようになってきました。今回は新しく接種できるようになった、または接種できるようになるワクチンをご紹介したいと思います。

 

Hibワクチン

 Hib(ヒブ)というばい菌は、主に赤ちゃんに髄膜炎を起こすばい菌で、日本でも2008年12月から接種することが可能になりました(2009年2月号で紹介)。残念ながら、毎月輸入されてくるワクチンの数に限りがあるため、現在もワクチン不足が続いています。このような状況も輸入量の増加によって今年の秋ぐらいには改善される見込みのようです。対象者は3ヶ月から5歳未満で、標準的な接種は4回ですが、接種開始年齢によって回数は異なります。

肺炎球菌ワクチン

 肺炎球菌というばい菌は、子供では髄膜炎や肺炎、中耳炎などを、大人では肺炎や敗血症(ばい菌が血液の中に入り、様々な障害をきたす状態)などを起こすばい菌です。肺炎球菌に対するワクチンは大人用のものは以前から存在し、主に高齢者や肺の病気の方を対象に接種されていました。最近になって、子供用の肺炎球菌ワクチンが日本でも使えることになり、現在その準備が進められています。上記のヒブと肺炎球菌を合わせると、子供の髄膜炎の原因の9割を占めており、髄膜炎の予防として両者のワクチンを接種することが望ましいとされています。対象者は3ヶ月から9歳未満で、標準的な接種4回ですが、接種開始年齢によって回数は異なります。肺炎球菌ワクチンについては、接種の予約が可能(2010年3月頃の予定)になりましたら、詳しくご紹介する予定です。

子宮頚がんワクチン

 子宮頚がんはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染によって引き起こされるため、20代、30代の若い人でも起こり得る病気です。HPVにはいくつかの種類が存在しますが、一部のHPV(16型、18型)に対するワクチンが開発され、ワクチン接種によってこれらのHPV感染を予防し、結果的に子宮頚がんになる危険性を減らすことができるようになりました。日本でも2009年12月からワクチン接種が可能になりました。対象は10歳以上の女子で、接種は3回行います。ただし、すでにHPVに感染している人に打っても予防効果がないため、欧米では思春期前後の女子への接種が勧められています。

 なお、いずれのワクチンも任意接種のため、接種料金がかかります。料金は医療機関によって異なりますが、当院ではHibワクチンが1回7,000円、小児の肺炎球菌ワクチンと子宮頚がんワクチンについては、料金は未定です。

文責:北村和也