ポリオワクチンのこと

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 春日井市では現在ポリオの集団接種が行われていますが、「受けさせるべきでしょうか?」という質問を多くの方から頂きました。
日本においてポリオは自然にかかる病気ではありません。WHO(世界保健機関)によると現在でも流行が認められるのは、インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの4カ国です。しかし、日本でも昨年、少なくとも2名の子供がポリオ感染と確認されました。海外にも行かずに日本にない病気になぜ罹ったのかといえば、ワクチンによってポリオを発症してしまったのです。

 

 

 病気を予防するはずのワクチンで、なぜ病気に罹るのか?理由はそのワクチンの性質にあります。ワクチンには、大きくわけて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。例えばインフルエンザワクチンや三種混合ワクチンは「不活化ワクチン」の代表選手ですが、これは病気のもとになるウイルスなどを化学処理してしまうため、ワクチンによって病気にかかることは絶対にありえません。一方、現在使用しているポリオワクチンは、「弱毒化生ワクチン」と呼ばれ、毒性を弱めた生のウイルスそのものを飲む方法です。この方法は免疫がつくまでの期間が短く、腸管の免疫が獲得されること、また費用が安く医療器具を必要としないというメリットがあります。しかしながら、弱毒化とはいえ、生のウイルスを飲むため、残念ながらワクチンによってポリオを発症してしまう方がいます。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)によると250万件に1人がワクチン由来のポリオを発症するとされています。

 

 

 日本では平成14年に不活化ワクチンへの切り替えは決定されていたのですが、「国産開発」と「混合ワクチン化」を目指して完成が大きく遅れ、今秋からの登場となりました。

「ポリオの生ワクチンを飲ませるべきでしょうか?」という質問に戻ります。医師法という法律の第一条に医師の役割が述べられており、「公衆衛生の向上および増進に寄与」しなければならないと規定されています。この公衆衛生という観点からみると、ポリオワクチンの接種は必ず受けてほしいものです。多くの方が9月を待ってポリオへの免疫がない子供が多くなることは、もし海外から野生株が入った時に流行をきたすリスクを高めてしまいます。ワクチンや病気に対する考え方は様々であり、リスクの感じ方には大きな個人差があります。個人的にはチャイルドシートを使わなかったり子供の傍で喫煙するような方が、ことさら予防接種のリスクに敏感になるのはアンバランスだと感じておりますが、麻痺が起こってしまったら取り返しがつかないことも事実ではあります。従って、現時点でそのリスクを回避されたい方は不活化ワクチンを導入している医療機関をお探しになり、費用は自己負担となりますが受けて頂く必要があります。

 

 

生ワクチンにせよ不活化ワクチンにせよ、どちらかのワクチンを必ず接種させて子供さんを守ってあげて下さい。

文責:下島卓弥